2023/02/10 15:46
理論で説明のできる科学とイマジネーションの先にあるファンタジー、相反するように思える2つの世界は繋がっています。現象はそこに存在し、それを想像力と知識を組み合わせて仮定し、高い再現性がとれて計算式に出来たものが科学と呼ばれます。不確定要素が多く科学的にまだ証明出来ていないことはファンタジーと呼ばれます。今だとスピリチュアルと言われることも多いかもしれません。
例えば「火」が起きる仕組みやその性質を知っているので、ガスコンロやライターに火がつくのが当たり前になっているけれど、その文化がない時代だったら魔法の様に見えるでしょう。
先日台風が来て雷が鳴っていましたが、うちの犬は雷をすごく怖がります。雷が起きる仕組みや性質が分かっているからお家の中なら安全と分かっていて落ち着いていられるけれど、それがもし分からなければ原因不明の大きな音と空を走る光は恐怖でしかなく、犬が怖がるのもそうだよねと思います。
1998年にスーパーカミオカンデの観測によりニュートリノに質量があることが証明されました。ニュートリノとは質量のとても小さな素粒子で、当時質量は無いものとされていました。更にもともとカミオカンデは別の現象を観測するために作られたもの。反応を観測していくうちに、ニュートリノに質量がありそうだとなり、スーパーカミオカンデが建設され、そこから観測と計算を繰り返した末にニュートリノに質量があるという結論に辿り着きました。
こんな現象がありそうで、こんな計測器で観測できそう
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大きな装置を建設し、とても手のかかるメンテナンスを日々しながら観測+計算
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違う発見があり更に大きな計測器を建設、更に一年観測と計算を繰り返す
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ニュートリノに質量がある事を証明!
という流れです。
あるかないかその時点では分からないものをある!と強く信じ遂に真実に辿り着く、これってもはやすごくファンタジーだと思いませんか?
このお話は研究をされていた梶尾隆章先生の講義で詳しく聞けるので、興味があれば是非聞いてみて下さい。
研究者の方たちがすごいのが、追求そのものを楽しんでいる事。ヒッグス粒子を発見したチームのドキュメンタリーの中で研究者の1人が「見つかったら面白いけど、見つからなかったらそれはそれで面白い、また初めから考え直せるから」というような事を話していて、とても印象的でした。
研究の一歩目には必ずイマジネーションが必要で、そんなことあり得ないをどれだけ外せるかがとても大切、そしてそれとともに、自由に持っている知識を組み合わせられる事で世界は広がっていきます。それは私たちの人生も同じだと思うのです。