2023/02/10 16:32
「感情」は理性や理論と対極に位置付けられ、ネガティブな要素として受け止められることもありますが、環境に適応するために進化の過程で生まれた"心の働き"という捉え方もあります。
心理学・行動学の世界で、普遍性を持つ基本感情と呼ばれているのは、怒り、恐怖、驚き、悲しみ、幸福、など6〜10種あり、特定の刺激を知覚することで生じ、自律神経に大きく作用します。
この中で人間や動物にとって、最も原始的な感情が「恐怖」です。
恐怖が、喜びや悲しみの感情より古い起源を持つのは、警戒心からくる防御的感情、つまり生きる為の本能だからです。
前頭葉と恐怖の仕組み
脳の前頭葉は、活性化されるほど恐怖を抑制し、痛みを増強するという性質があります。
前頭葉が脳に占める割合は、ヒトが約29%、犬は約7%で、犬たちは人間よりも痛みに鈍感で、恐怖を強く感じていることがわかります。
更に、言葉を持たない犬たちは、人間よりもトラウマを受けやすいという性質があり、恐怖心を感じた経験と視覚が、ダイレクトに結びつく構造になっています。
例えば、警察犬など厳しいトレーニングを受けた場合、叱責や道具、特定の音への恐怖心が強く残り、人から褒められたい、認められたいといった承認欲求(感情)がとても大きく現れると言われていて、記憶への紐付けが伺えます。
生き物が感じる恐怖には、いくつかのパターンがありますが、ヒトと犬では少し違います。
【犬の恐怖】
・経験の無い強烈な刺激→不意の物音、光、刺激など
・進化や成長の過程で覚えた恐怖→雨、雷、台風など環境要素が中心
・社会的に学習した恐怖→群の中の不穏、調和の乱れ、共鳴など
・個別に学習した恐怖→病院の注射、安心できない場所での就寝、トレーニングなど
(該当する犬種、年齢、環境など個体差あり)