2023/02/10 17:30



感染の流行が起きるとフォーカスされる「ウイルス」ですが、地球全体の中での役割という視点で見ると違った見方も出来ます。

ウイルスとは?

・生物の定義
1 自己代謝する
2 外界と膜で仕切られている
3 自己複製できる

これに当てはまらないウイルスは、生物ではないと定義されています。しかし、生物ではないと定義されるのにも関わらず遺伝子を持ち、宿主に侵入するとその細胞内に増殖工場を作り、細胞膜を破り他の細胞に感染していきます。

1mlの海水の中に1000万のウイルスが存在している、という程あまりに小さなウイルスの研究はなかなか進まず、デメリットにフォーカスされる事が多かったのですが、大きなサイズに変異したウイルスが発見されたり、環境の中でウイルスが担っている役割が徐々に分かってきています。

高知県の浦ノ内湾での観測で、赤潮の発生には細菌が、収束にウイルスが関与していることが分かりました。ウイルスは宿主を全て駆逐するわけではなく、通常数に戻ると自然と数が減っていきます。つまり共存する事で生態系が保たれているのではと考えられています。

また別の観測では雲の核の形成にウイルス関与しているとも言われます。雨には水蒸気の蒸散による「暖かい雨」と、ある物質が核となった氷から成る雲から降る「冷たい雨」の2種類があり、冷たい雨の核になっている物質の一部にはウイルスが関与しています。

また、海底への炭素循環にも関与している事も分かってきています。

現在、なんとヒトゲノムの8%!がウイルス由来の遺伝子と言われ、私たちの生にも深く関わっています。

目に見えず、常に変異するウイルスは、脅威でもありますが、長い地球とウイルスの歴史を見ると、環境保全を担っているように思えます。バランスを保ちながら良い関係で一緒に住むことがきっと出来るのだと思うのです。