2023/02/10 19:05


全ての物にはメリットとデメリットがあり、どの視点から見るかによってもそれは変化します。「食事」という言葉から連想されるイメージは恐らく人によって様々で、何を重視するかも違います。
現在では全ての分野において情報量や選択肢が多く、自分が本当に望む食事を取るためにはある程度の知識が必要です。

例えばチョコレートを例にとると、スーパーやコンビニで50gのチョコレートは¥100〜¥200で買えますが、その内容成分の一例を見ると(ビターチョコレートの場合)

・カカオマス
・砂糖
・ココアバター
・乳糖
・植物油脂
・全粉乳
・乳化剤(大豆由来)
・香料

とあります。
このような表記の場合

・砂糖は精製糖
・植物油脂は水素添加によるトランス脂肪酸のリスクや、遺伝子組み換え原料が使われている可能性、そうでなくてもこの価格の食品に使われている油は低温圧搾などではなく、薬剤使用により取り出した油の使用、価格の高いココアバターの量を減らし低価格で販売できるように入っています。
・乳化剤はチョコレートの場合カカオマスとカカオの油分、砂糖が分離して口溶けが悪くなるのを防ぐために入っています。乳化剤として使われる成分レシチンは卵や大豆に含まれ、この場合は大豆由来と記載があります。ただ、特に表記がない場合遺伝子組み換えの大豆由来のレシチンを使用している場合が多いです。
・香料は合成香料か天然香料かにより全く別物で、合成香料は石油由来の成分が含まれる場合もあります。表記がない場合合成香料が使われている可能性が高いです。

この、精製糖と脂の組み合わせ、ブログを読んでくださっている方は気づいてもらえるかもしれませんが依存を引き起こす食品の典型のような物で、それが安価なチョコレートなのです。

また、遺伝子組み換えの材料を使用している場合の1番大きなデメリットは環境負荷です。遺伝子組み換えの農作物の種子は植物とバクテリアの遺伝子を掛け合わせる事で、農薬に対する強い耐性を持ちます。そのため殺傷度の高い農薬と種子がセットで販売され、遺伝子組み換えの種子以外を根絶やしにすることが目的でしたが、現在では耐性のある雑草が増えた事でさらに毒性の高い農薬が必要になるという問題も起きています。たくさんの量の食物が短期的には比較的安定して収穫できますが、循環や継続性のない仕組みといえます。この農薬に含まれるグリホサートはWHOにより発がん性がある物質として指定されていますが、その議論は各国で続き対応も様々で、多くの国で販売が禁止されている中、日本ではグリホサートを含む除草剤ラウンドアップは現在も販売されています。


一方で、オーガニックチョコレートの一例を見ると(カカオ55%のチョコレートの場合)

・有機カカオマス
・有機粗糖
・有機ココアバター
・有機黒糖
・有機バニラ

とあります。

フェアトレード(公正な取引により利益を分配)で生産され、オーガニック原料で環境にも配慮した材料を使用しています。精製糖は使わず、油分は全てココアバターを使用し、乳化剤を使用しない代わりに、コンチングと呼ばれる練り上げる作業を時間をかけて行う事で滑らかな口溶けにしていて、さらにこの工程で香り成分を増やす事で香料も使用していません。
この例にとったチョコレートは50gのタブレットチョコレートで¥400〜¥500で販売されています。

環境や健康に配慮した製品を作っている企業の場合、

・乳化剤(レシチン 大豆由来 遺伝子組み換えでないものを分別)
・香料(オーガニック〇〇オイル)
のように必ず表記してあるし、デメリットであっても「この部分が課題です」のように表記をあえてしてある場合もあります。

解剖学者の養老孟司先生が以前インタビューで「環境問題という概念自体がおかしい、田んぼに稲がなっていればそれはいずれ私たちの体の一部となるものだから、そこに境目を作るものではない」という様なお話をされていましたが、値段の安さや高さには多くの場合理由があり、メリットとデメリットを知った上で、自分や大切な人、未来のことまで想像しながら食べ物を選ぶことは環境までも自分の一部として捉えながら明日を作っていく事へ繋がっています。