2023/05/30 08:42
イメージネーション力とは、経験していないことや未来のこと、現実にはまだ存在しないことを、頭の中で映像として思い描く力のことです。
歴史の偉人たちは言うならば皆がアーティストであり、数学者や物理学者も、数式を解くときにはイメージで描いていたそうです。
例えば、相対性理論を考案したアインシュタインは、「頭の中に、絵を描く事が出来なければ、考える事が出来ない」という言葉を残していて、イマジネーション力の重要性を理解し、伝えていたことがわかります。
これは科学や物理などの遠い世界のお話ではなく、仕事、健康、ダイエット、ワークアウトなど、自分のポテンシャルを一番良い段階まで引き上げていくためにも、非常に役立つ考え方です。
人は想像することをやめると、主観が強くなり、新しいものを受け取る余白がなくなり、これまでの知識や経験を頼りに、仮説でアレンジをしていきます。
これは仕事やお金など幅広いカテゴリーにおいて、現状維持=キープするという行動で、非常によく見られる構図です。
維持する、手放さない、守りたいという発想は、実際には非常にストレスのかかっている状態なのです。
アメリカでPLANTBASEDのスポーツ栄養学の授業の一コマで、「収穫逓減(しゅうかくていげん)の法則」の話が出たことがあります。
余談ですが、当時のアメリカの授業は栄養学や調理方法を勉強するのに、いわゆる専門分野外のことがカリキュラムに組み込まれていて、世界経済、プロモーション、写真映像など1つの料理に対し、たくさんの要素が紐づけられていたのも新鮮でした。
話は戻って収穫逓減の法則とは、簡単にいうと「ある地点を境に、必要以上の仕事をすると、プラスになるどころか、マイナスになることを示すもの」と表せます。
これを、ワークアウトに当てはめると、時間や強度をかけて頑張って運動しても、必ずしもその行動に見合った成果が得られるとは限らない、つまり「得られる利益よりも、与える(費やす)エネルギーの方が大きい」場合があるということです。
運動は、食事や睡眠と共に健康を維持する大切な要素の一つですが、運動=ストレスとなってしまった場合、この法則が当てはまります。
困ったことに、負荷が上がっていくほど高揚感や達成感に包まれるので、ストレスを認識するのには非常に時間がかかる場合が多いのです。
よく講義で取り上げるのがトライアスロンの話で、365日健康な状態で競技を続けても、僅か1kgほどしか体重は減少しないという例えです。
これは、強度の高い運動をこなすためには、それを支えるエネルギーを生み出さなくてはならないため、食事の量や配分が比例して上がるためです。
つまり、仕事でも運動でも自分のキャパシティを大幅にオーバーしてストレスが大きくなれば、質の高いエネルギーを産み出すこともできなくなり、能力を最大限に使うことは難しくなります。
人間は体や脳に過剰なストレスがかかり対応できなくなると、循環を止める生き物で、消化活動をやめ、デトックスを止め、生き残るために「守る」ことに全集中します。
これがまさに、現状維持という状況です。
運動のみならず、仕事やコミュニケーションでも体や脳にかかるストレスや負荷が増えた時には、感情ではなく自分の内側で何が起こっているのかをイメージして、理解することが重要です。
イマジネーション力とは、どんな時でも冷静に身体の状態を把握し、対応策を講じるための大切な手段となるので、その力を引き出すためにも日々のセルフメンテナンスは素晴らしい仕事をしてくれます。
「自分の異変に気づく準備をする」を可能にするセルフメンテナンスは、最大の予防医学とも呼べるのではないでしょうか。
好きな方法を選び、たとえ短い時間でも毎日のルーティンにすることで、イマジネーション力を育てましょう。