2023/06/13 17:13

ヴィーガンやベジタリアンという言葉が定着するずっと前から、自らの意思で決定し実践してきた人は数多く存在します。

物理学者のアインシュタインは「人間の健康を高め、地球生命の存続を確かなものとする点で、菜食に勝るものはない」と公言していたり、パンクやニューウェーブの立役者でもあり環境保護活動へのベクトルが強いヴィヴィアン・ウエストウッドは、ヴィーガンです。
ファッションデザイナーでありながら早い段階で大量生産や大量消費に警鐘を鳴らし「慎重に選び厳選した新しい洋服を買うのは半年に一度で十分」と話しています。
これは動物性の加工における大量の水の使用と同じように、生産過程でより多くの環境負荷を生み出す可能性があるファッション業界に向けて提言したものだと思います。

そもそもヴィーガンというのは、菜食主義者として自分の健康を気遣うことがゴールではなく、生きるもの全ての循環や調和を大切にするという考え方からきていて、誰かを何かを否定するものでも肯定するものでもなく、ただ存在しているものだと思っています。

一般的にヴィーガンの健康上の問題点としてあげられるのは、タンパク質、ビタミンB12、鉄分やカルシウムなどの不足からくる低栄養に陥りやすいという考え方ですが、今日は植物性タンパク質とワークアウトについてお話ししようと思います。


リビング・レジェンドと呼ばれるヴィーガンランナー
地球上で最も偉大なランナーでもあるScott Jurek(スコット・ジュレック、以下スコット)は、リビング・レジェンド(生ける伝説)と言われている人です。

スコットの存在を知ったのは、2009年頃の海外の雑誌かインタビュー記事だったと思いますが、その記事には菜食主義者でありながら世界最強のランナーであることが書かれていて、見出しには「何故ヴィーガンを選んだのか?」という文字が大きく書かれていました。

当時の日本では、アスリートフードと言えば、動物性タンパク質と脂質が最重要視されていたし、プラントベースやヴィーガンについては、話題にもならない時代だったので、驚きと共に可能性という喜びもありました。

スコットの功績についてざっくり説明すると、 1日で6.5回のフルマラソン(42.195×6.5=274.2675km)をするという超人レースで優勝を果たし、史上最高の7連覇を達成したと言った感じです。

どれほど過酷なのかは走ったことがないのでなんとも言えませんが、想像するだけで正気とは思えないというのが本音です。笑

概念を超えて体感が教えてくれるもの
そんなスコットも、元々は肉や魚、ジャンクフードや添加物までなんでも食べる痩せっぽちの田舎の少年だったのですが、レアという女性との出会いをきっかけに徐々に食事への考え方が変わり、その後も山や旅で出会う様々な国籍や思想を持つ人から得たものを自分自身で実践し完全なヴィーガンへとシフトしたそうです。

ヴィーガンという食事に、違和感もストレスもなく自然な形でシフトしたものの唯一の悩みが「必要なタンパク質の摂取どうする?」という問題でした。

当然、スコットの頭の中にも「動物性のタンパク質が絶対必要」という常識があり、それを覆したのは他でもなく自分の体感と優勝が結びついたからです。

スコットは「自分の体を感じて知ることは重要であり、バランスと組み合わせを考えることができれば、筋肉量の維持や体の回復に必要なタンパク質を植物性から摂取できる」と述べています。

さらに、「肉の代替え品は選ばない。自然に発芽した豆や正しい発酵プロセスを経たものを選ぶ」とし、その理由に一部の大豆製品や加工品における天然では無いエストロゲンの過剰摂取によるホルモンの誤作動を懸念事項としてあげています。

スコットが実際に作っていたレシピの中には、じゃがいもやアボカド、ひよこ豆やレンズ豆、小豆やおにぎりの他モリンガパウダーやターメリックなどのスパイス類も頻繁に登場します。

更に生のカカオに含まれるカフェインを「レース後のエネルギー補給源として何より楽しみで最大の至福の時間」と話すなど、ADAPTMEALSのレシピでも使われる食材がたくさん登場するのも印象的でした。

人はそれぞれが異なる体質を持ち、食べ物はその人の精神性や生き方に大きく影響を与えます。
そして植物性や動物性という垣根を超えて、最善のものを選ぶことこそが健康につながるのだと思います。