2024/02/01 14:12
食べるものが体を作っているというのは、恐らく誰もがイメージ出来ると思いますが、分子生物学者の福岡伸一先生は、「生命とは動的平衡にある流れである。個体というよりは流体、さらに時間を延ばすと気体のような物でもある」と表現しています。
動的平衡とは、絶え間ない流れの中で一種のバランスが取れた状態のことで、秩序あるものは秩序が乱れる方向へ向かうエントロピー増大の法則に則り体が崩壊していくのに先回りし、体を少しずつ崩しながら新しい体を作り続ける事でバランスを保っています。作る事と壊す事、酸化と還元という矛盾する逆の反応を繰り返す事により、生命は維持されています。
生物学者のルドルフ・シェーンハイマーが行った、毎日食べ続けることの意味を観察した実験があります。
ネズミに窒素の同位体(同じ原子番号を持つ中性子数の異なる原子核の素性を持つ原子)を使って合成されたアミノ酸を与え、同位体を追跡し、体内の物質循環を調べました。与えた3割は排泄され、多くは体の各部位に取り込まれしたが、そのことによる体重変化はありませんでした。
食べ物で体が日々作り変えられる意識を持って、どんなものを選んで、何で自分の体が作られているか観察してみると、変化に敏感に気づくようになり新しい発見があるかもしれません。