2024/02/06 00:04

行動科学(behavioural science)は人間の行動を科学的に研究し、その法則性を解明するもので、様々な学問が含まれます。行動療法、認知科学、行動心理学、心理学、社会学、人類学、脳科学、精神医学、行動生物学など幅広い分野にわたります。


「観察する」という行動は、行動科学に共通して重要なキーワードです。
人は年齢を重ねて経験を積むと、このシンプルな「観察する」ことを正確に丁寧にゆっくりと行うことが非常に苦手になると言われています。

言葉というのは面白いもので、馴染みがありイメージ化されているものは言語化して説明するのが困難だという方も多いかもしれません。

例えば「観察する」とは非常に身近な存在であり、興味や関心にが沸けばドーパミンやセロトニンを分泌させるきっかけにもなります。

元々は仏教の教えで用いられている言葉で、「知恵によって対象となるものを正しく見極めること」と教えられていますが、現代では「物事のよく見て観察すること」「物事のありのままの現象を注意深く見極め、客観的な知識を得ること」といったような意味合いで使われています。仏教用語として用いられていた言葉が、科学的な学問を世界中から受け取ったことにより、新しい学び方に敬意を示し「観察」という言葉があてられたと考えられています。




観察力を理解する

観察する力=観察力があるとは「物事を観察し、変化に気付く力」があることを指します。

この時、対象となるのは人を含む生き物や物質的なモノの2つに大きく分類されます。


観察力とよく似た言葉に「洞察力」というのがありますが、洞察力は「物事の本質を見抜く力」のことです。観察力が「表面的な目にみえる部分を注意深く見る」という行為なのに対し、洞察力は「物事の見えていない本質的な部分を見抜く力」と表せます。

つまり、洞察力の土台となるのが観察力となり、この2つを総称して観察という行動になります。


観察力のメリットって何?

日常生活からビジネスシーンまで、生活のほとんど全てにおいて役立つのが観察力です。


日常的にあらゆる物事を観察することで、小さな変化や違いにスピーディーに気付けるようになります。物事を点で見ていたところから、もっと大きく広い視野から循環の一部として捉えることができるようになるため、固定観念に縛られず、フレキシブルに物事を考えたり、小さな変化にも気付いたりできるのです。


健康という点では、セルフケアやメンテナンスを習慣化することで、自分にしかわからない微細な違和感に気がつくことができるようになります。これは、最先端の科学や医療に劣ることなく、正確かつ比較的早い段階で病態を見つける可能性は高くなります。ただし、身体は毎日触ったりケアしていなければ、身体からのメッセージを受け取ることは難しくなり、痛みや炎症といった症状が’表面化して初めて自覚するため、病態が進行しているケースも少なくありません。世界に一つしかない大切な身体という器に感謝の気持ちを向けてみてください。きっと毎日のセルフケアが習慣化します。


違和感に慣れることもある?

これまでなかった概念や対象に触れた時、人は大きな違和感を感じますが時間とともに反発がなくなり、慣れてしまうという傾向があります。例えば、食の話で言えば代替肉に対して消極的だった消費者も、市場の拡大やクリーンなイメージのコマーシャルにより違和感は薄れ、むしろ健康でヘルシーというイメージが定着しつつあります。そのほか、欧米を中心に食品の販売が始まり日本でも見かけるようになったコオロギやミルワーム(甲虫の幼虫)を使う昆虫食、見た目や独特の風味が残ることもあり、今はまだ敬遠する人も少なくありませんが、これすらも時間の経過とともに自然に受け入れるという流れに変わると言われています。


テクノロジーが加速する現代においても人間の観察力は非常に優れた才能だと思っています。

これからの時代は益々観察力の高さが求められ、必要な知識や情報を得ることで、一人一人が小さな違和感を発見していくことも必要なのではないでしょうか。